公益社団法人日本ボート協会

Japan Rowing Association

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全国のオアズパーソンへの手紙(第100信)

2020年12月1日
日本ボート協会会長
大久保 尚武
会長写真

この「全国オアズパーソンへの手紙」も今回が第100信になりました。われながらよく続いたなァと思います。この程度の手紙でも毎月となると案外大変で、月末近くになると「何を書こうかな」と考え考えメモをとり、書き上げるまでに2晩はかかるのが普通でした。

今回第1信を読み返してみました。8年前、2012年9月1日が第1信です。

書こうと決めたキッカケは2つあったようです。ひとつはその年の6月29日付で日本ボート協会が公益社団法人に移行し、なにかと組織としての行動をキチッとしなければならなくなったこと、もうひとつはロンドンオリンピックのメダリスト達の銀座パレードです。覚えておられる方も多いかと思いますが、10万人以上の人々が銀座通りを埋めつくし、車上で手を振るメダリストに大歓声・大興奮状態です。「ここにボート選手もぜひ乗せたい!」強くそう思ったのです。その思いから、このメッセージを送る決意をしました。日本ボート協会が何を考え、どうしようとしているのか、できるだけ柔らかいことばで情報発信をして、全国のオアズパーソンと一緒に考えながら思いをひとつにして、日本のボートをより強く、より活性化しようと考えたのです。(ちなみにオアズパーソンという未だ熟していないことばを使うかどうかだいぶ迷いました。「それでいくべきですよ」と強く推してくれたのは、亡くなった元監事の和田好史さんでした)

実際に効果あったのかどうか、これは分かりません。半年くらいたった頃、どのくらい読まれているのかアクセス数を調べてもらったことがあります。4,000回くらいでした。地方へ出かけたときに、「読んでいますヨ」と声をかけてくれる人は多くて、その点ではいささかの役に立っているのかと自己満足しています。

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こんど最初の頃のこの手紙(といっても第4信までですが)を読み返してみて、「へえ、こんなことがあったのか」と驚くこともありますが、「何だ、8年前も同じことを考えていたんだ」と、ちょっとガッカリすることも沢山あります。

第1信ではロンドンオリンピックでイギリスが金4、銀2、銅3と圧倒的な成績を残していることに驚いています。また日本の全日本大学選手権で富山国際大学が銀メダルを取ったことを賞讃していますが、先月のこの手紙で今年の同大学の大活躍ぶりを賞讃しており、「すでに8年前から芽を出していたんだ」と8年前を忘れていたことを反省しました。

第2信では、パラローイングの話題を取り上げ、またアジアをもっと重視した方策を取るべきだと強調していますが、これは現時点での課題でもあります。

第3信では、全国ボート場所在市町村協議会について詳しく紹介しています。この頃から注目、重視していたことを再発見しました。またFISA(現World Rowing)のマット・スミス事務局長とスベトラ理事がオリンピック開催コースとして「海の森水上競技場」が適当かどうか視察に来て、GOODの評価をしていることも書かれています。あの時点で(まだ東京とは決まっていませんでした)そんなことがあったことを、おぼろげながら思い出しました。

第4信では、2020東京オリンピック・パラリンピックが決まったら日本ボート協会創立百周年と同じ年になる。偶然とはいえ、実におめでたい話が重なるということが書いてあります。それが新型コロナのお蔭で両方とも1年延期になるなんて思いもしなかったことです。

読み返すと興味深い記事が多く、コピーして冊子にまとめておこうかななどと考えています。

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11月27日(金)日本ボートマンクラブ(JBC)会員の集いが開かれ、わたしも参加してきました。コロナ禍のせいで、オンライン会議形式での集いです。新宿の主会場には福田紘史代表をはじめ、幹事校の同志社大学の皆さんなど10人程の方々がパソコンを前にして着席、そのほか80人強の会員の方は自宅での参加です。わたしは新宿の主会場に加わらせてもらいました。

例年通り福田代表の挨拶で始まり、次いで今年も日本ボート協会への寄付金をいただきました。ほんとうにありがとうございます。わたしからも一言挨拶をし、特に「『生涯スポーツボート』を理念として掲げるわれわれにとって、JBCは大事な核となる組織であり活動です」として、今後一層の活動拡大をお願いしました。

オンライン形式ということなので、最初は「実際に顔を合わせられないのはちょっと淋しいな」と思っていたのですが、とんでもない、2つの企画で大いに盛り上がりました。

ひとつは「全国クラブ紹介」です。北は「札幌ボート協会」から南は「九州ローイングマスターズ倶楽部」まで8つのクラブ紹介は非常に興味深いものでした。正直今まであまり馴染みのなかった協会の活動ぶりもよくわかり、楽しい企画でした。

ふたつ目は「ブレイクアウトセッション」で全参加者を8人ずつのグループ(小部屋と称します)に分けた「オンライン懇親会」です。これまでほとんど話をしたこともなかったボートマン同志が一気に親しくなる、これも実に興味深いオンラインならではの企画でした。「コロナも悪いことばかりじゃないな、新しいコロナ文化だな」と思ったことです。

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同じ11月27日(金)の午後に「JOC加盟団体会長会議」が開かれ、出席してきました。加盟60団体のうち半分の30団体が日本青年館ホテルの会場に集まり、残り半分は自宅からオンラインでの参加です。

会議の議題は

  1. ガバナンスコードの対応について
  2. アスリートへの写真・動画によるハラスメント防止について
の2つが主なものです。ひとつ目の「ガバナンスコード」とは、すでに数年前に示されたものです。スポーツ界で不祥事など何かと問題を起こすのは管理体制、特に理事会のあり方に不備あるからだ、という視点で①理事が固定しないように定年制を設ける②当該競技経験者以外の外部理事を入れる、等の改革指針が示されたのです。しかしこれをすぐに実現するには難しい点も多く、各団体ともあまり進んでいません。この日もいくつかの団体から「個別の事情を考慮してほしい」などといった意見が出ていました。山下会長からは「いろいろ対応策は考えるが、この方向で体制強化を図ってほしい」と重ねて指示がありました。

ふたつ目は(わたしはよく内容を知らないのですが)アスリートの写真・動画を使用した性的目的のSNS投稿やWEB掲載が多く起こっている、これは絶対に防止しなければならない、とういう趣旨です。誠に困った話であって、このことを議題に会議を開かなければならないのは誠に残念だ、というのがわたしの感想です。

オリンピック・パラリンピックに関して何か目新しいニュースがあるかと期待していましたが、通り一遍の状況説明だけでした。世論を「ぜひ開催すべし」という方向にもっていくために、国民的英雄である山下会長が先頭に立ってもっと積極的に動いてほしいと、わたしは思っているのですが…。

(以上)