公益社団法人日本ボート協会

Japan Rowing Association

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全国のオアズパーソンへの手紙(第97信)

2020年9月1日
日本ボート協会会長
大久保 尚武
会長写真

新型コロナウイルスの感染拡大第二波はピークを越えたという発表がありましたが、まだ毎日1,000名近い新規感染者がでる状態で、とても気の許せる状況とは思えません。そうした中で、8月も全国でボート大会はいっさい開催されていません。しかし日本ボート協会の各委員会の仕事がなくなったわけではなく、それぞれ地道に活動を続けています。なかでもコロナ対策に対応する医科学委員会(村井邦彦委員長)や、オリンピック・パラリンピックの延期に対応する2020特別委員会(細淵雅邦委員長)などは、これまで経験したことのない事態にどう対処すればよいか、必死で知恵をしぼっている状況と思われます。

総論はともかくとして、現時点では9月、10月に開催することを決めた3大会の準備に大わらわの状態です。

9月19日-20日  全国高等学校ボート選手権特別大会(大阪・浜寺コース)
10月8日-11日  全日本選手権(埼玉・戸田コース)
10月22日-25日  全日本大学選手権(同上)

大会準備のポイントはやはり感染症対策です。万々一にでも感染者が出た場合の社会的責任は大きく、対策には万全を期さなくてはなりません。

今年の7月に、医科学委員会では「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策を伴うボート競技大会開催に関するガイドライン」を公表しています。今度の大会でも、もちろんそれに沿って対策を講ずることになります。打つべき対策は多岐にわたりますが、地域住民(町内会)の皆さんに安心してもらえるよう十分なコミュニケーションを取ること、また大会に集まる人数をできるだけ抑えるため、無観客にすることはもちろん出漕選手の上限を800名(戸田の場合)にすることとしました。そのために、事前にエルゴタイムを登録してもらい、エントリーの多い種目ではエルゴランキングの下位からカットする、という対応策も取り入れることにしています。オリンピック・パラリンピックの本番での対策なども頭の中で描きながら大会を運営していきたいと思います。皆さんには、あるいは「なぜこんなことまでするんだ」と不信に思われることもあるかと思いますが、よろしく事情ご賢察ください。また何かお気付きのことございましたら、ぜひご意見お寄せください。

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日本代表候補選手(男女各5名 計10名)は、8月も3週間(8月16日‐9月4日)の強化合宿に入っています。場所は今回も岩手県田瀬湖で、地元の皆さんのご理解と全面的なご協力を得て快適な合宿を続けているようです。また岩手県ボート協会長の谷村邦久さんには、今回も何度か激励に見えられ、差し入れをいただいたということで感謝にたえません。

わたしは目標としていたオリンピックが延期になった、更にはコロナの今後も見通せないという状況で、選手諸君のモチベーションが落ちやしないかという点が心配でした。しかし、どうやらこれは老人の杞憂のようで、長畑芳仁強化委員長からは「会長、心配いりません。いい雰囲気の合宿ですよ」というメッセージをもらっています。たしかに日々オールを握って必死の努力を続けている選手たちは、長年の経験で培ってきた考え方(精神力)で自らの目標をしっかり打ち立て、練習に励んでいるようです。健闘を祈ります。

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秋田県の地元紙「秋田魁新報」に、伊藤次男さん(秋田県ボート協会会長)の記事が6月23日から7月26日まで33回にわたって掲載されました。「シリーズ・時代を語る」という欄で、その道の第一人者に自分の人生を語ることを通じて時代を語ってもらう、という趣旨の記事です。(秋田魁新報記事はこちらから https://www.sakigake.jp/special/jidai/074/

伊藤さんについてはご存知の方も多いでしょう。本荘高校、中央大学のボート部で活躍し、秋田県庁に就職してからもボートを漕ぎつづけ、オリンピックに連続3回(東京、メキシコ、ミュンヘン)出場しています。引退してからもずっとボートに係ってくれていて、現在は秋田県ボート協会長を務めていただいています。

わたしは彼とほぼ同世代なので、ある程度のことは知っていましたが、今回の記事で3回のオリンピック出場に至るいきさつや努力について、新しいことをたくさん教えられました。「そんなことがあったのか」という驚きです。こうしたオアズパーソンの充実した記事が載ることは、本当にうれしいですね。

(以上)