公益社団法人日本ボート協会

Japan Rowing Association

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全国のオアズパーソンへの手紙(第86信)

2019年11月1日
日本ボート協会会長
大久保 尚武
会長写真

この秋の台風の風と、特に雨のものすごさには文字通り「ぶっ魂消(たまげ)」ました。これほど広範囲に川が氾濫し、堤防が決壊したことは聞いたことがありません。艇友諸兄姉に大きな被害のなかったことを祈っております。各地のボートコース、艇庫などは、水辺にあるものだけに相当大きな被害をこうむったようです。お見舞い申し上げます。

戸田ボートコースも3m程水位が上がり、多くの合宿所や艇庫は床上浸水、艇の破損、エルゴメーター水没、台所用品が泥水をかぶったなどの被害を聞きます。スタートポンツーンは完全にダメになり、10月25日からの全日本新人選手権はステッキボートからのスタートでしのぎました。隣の彩湖は遊水池ですから当然ですが、90%以上の満々たる水位となり怖かったそうですが、お蔭で荒川の氾濫はまぬがれたわけです。海の森水上競技場はたいした被害もなかったようで、ホッとしています。

今回感心したのは水が艇庫にまで来ることを予測し、艇を上のアームに移したり、エルゴメーター等を2階に上げたり、危機対応をキチッと実行した学校・企業(一橋大学、明治安田生命など)があったことです。わたし自身、そこまで気が回りませんでした。見習うべきことと反省しています。

地球温暖化の影響で、こんなことは今後珍しくなくなると断言する専門家もいます。海水温はたしかに上がっているのでしょう。日本近海へ来て、なお発達を続ける台風など、これまであまり経験しなかったことです。水上でのスポーツ、そして風が大敵のボート競技の関係者にとっては頭の痛いことです。

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今年の「アジアボート選手権」は10月23-27日、韓国・忠洲で開催されました。日本はこれまであまり多くのクルーを参加させてこなかったのですが、今年は方針を大幅に変え、相当大人数の選手団を結成し、派遣することとしました。ただ諸般の事情により、JARA傘下の「日本代表クルー」とはせず、国際委員会のもとに下記の条件によって「代表と認められた単独クルーをまとめて日本選手団とする」という形をとりました。具体的には

  1. 全日本選手権の優勝クルー(もしそこが辞退した場合は次位のクルー)を日本代表としてアジア選手権への参加権を与える
  2. ユニフォーム、ブレードは日本代表クルーのものに準じ、統一する
  3. 参加費用は各団体の負担とする

このようなルールを定め、参加を募ったところ、多くの優勝クルーが参加を希望し、

男子 8種目(うち軽量級3種目)
選手30名 スタッフ9名
女子 6種目(うち軽量級3種目)
選手16名 スタッフ 5名
パラ 3種目
選手7名 スタッフ 5名

合計
選手53名 スタッフ19名(合計72名)

と、合計72名の大選手団を派遣することとなりました。

アジア選手権に力を入れることに決めた理由は大きく2つあります。

  1. これまで日本はARF(アジアボート連盟)への協力度が低く、アジア各国(ひいてはFISA)から批判の声が挙がっていること。さらに海の森水上競技場の今後の活用も視野に入れ、アジアボート界の中核として強化・普及に尽力すべきだと考え、それがひいては日本自体の強化にも継がると考えたこと。
  2. 中国は先般の世界選手権をみてもすでにボート強国の地位を築きつつある。また昨年のインドネシアでのアジア大会でわたしが実感したのは、アジア各国のボート強化が急速に進み、日本と同等、あるいはそれ以上の力をつけた国が4~5ヵ国でてきていること。

この2点を考慮して、大選手団を派遣したわけです。

さて結果ですが、多くの皆さんには予想以上の大苦戦とみえると思います。(パラ・ローイングについては後に述べます)メダル獲得数を国別にみると

中国
8個(うち金8)
イラン
7個(うち金2)
ウズベキスタン
6個(うち金3)
日本
6個(うち金1)
インド
5個(うち金1)

こういう結果で、中国が参加した全てで金というのは凄いですね。別格です。日本は13種目中、7種目でメダルに届かなかったわけで、アジア各国が着実に力をつけてきているのがわかります。気になっているオープン種目では、日本の参加7種目中銀メダルが2つ(M8+/NTT東日本、W2-/立命館大学)で、残る5種目はアジア内でも下位だったのが現実です。

パラ・ローイングはアジアでの普及はまだまだで、全部で7ヵ国の参加でした。韓国が少し抜け出ていて、4種目中、金メダルを3個獲得しました。日本は銀メダル2個、銅メダル1個で韓国に次ぐ位置付けだと思います。

ナショナルチームの国もあれば、日本のように単独チームの国もあるので単純に比べるのは非常に乱暴な試みかとも思いますが、今年のアジア選手権の結果からアジア各国のレベルを格付けしてみると

男子
Aクラス
中国(金2)・ウズベキスタン(金3銀3)・インド(金1銀2銅2)
Bクラス
香港(金1銀2銅1)・日本(銀1銅2)・イラン(金1銅2)
女子
Aクラス
中国(金6)・ベトナム(銀2銅3)・日本(金1銀1銅1)
B〃
イラン(金1銅3)・韓国(銀3)

といったところが、わたしの私的な格付けで、かなり問題の残る判断かもしれませんが、今後を考えるための参考にしてもらえればと思います。

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「いきいき茨城ゆめ国体2019」は10月4-7日、潮来ボートコースで開催されました。1974年以来45年ぶり2回目の国体ということで、県ボート協会理事長の嶋田稔男さんをはじめ多くの役員スタッフの皆さんが、長年にわたり身魂込めて準備にあたってこられたことと思います。

ところが天は無情、例の台風による強風で2日間はレースが全く出来ず、異例の形で大会を締めくくらざるを得ませんでした。「ボートは自然の中でのスポーツ、何が起こるかわからない」とはいうものの、大会役員の皆さんの心情に思いを巡らませると、残念至極です。ほんとうにご苦労さまでした。

10月4日(金)の都道府県連絡協議会は予定通り行われ、例年通り日本ボート協会の各委員長より種々報告事項が続き、次いで有功者表彰に移りました。今年は下記のお二人が受賞されました。

  • 北海道ボート協会  山口 理喜三 様(元北海道ボート協会長)
  • 兵庫県ボート協会  大西  剛  様(元兵庫県ボート協会副会長)

本当におめでとうございます。

最後に来年の国体開催地、鹿児島県鹿屋市の中西茂市長のご挨拶で終了しました。

9月28‐29日には「全国市町村交流レガッタ日田大会」が大分県日田市三隈川で開催されました。昨年亡くなられた鎧塚一さんのご尽力で始められたこの大会も第28回目ということです。地域に密着した「生涯スポーツボート」を目指すわたしとしては最も重視している大会のひとつで、できる限り出席することにしています。市町村民の「熟年」「壮年」「成年」に加えて「議会議員」のレースがあるのがこのレガッタの特色で、各議員先生が党派に関係なくクルーを組み、ボートを楽しんでおられます。初日の昼には「議長懇話会」、そして夜には名物の懇親会が開かれ、加盟32市町村のお国自慢で大盛り上がり、今年も実に楽しく賑やかな一夕でした。

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10月20日(金)、日本ボート協会定例理事会が開かれました。審議事項7つ、報告事項5つでしたが、「2020年度国内大会日程」が皆さんにぜひお知らせし、ご理解いただかなければならない事項でしょう。

来年は8月の前半にオリンピック、後半にパラリンピックが開催されるので、日程組みがなかなか難しかったのです。まず全日本選手権を10月8日-11日にしました。せっかく今年(2019年度)5月にもってきたのにまた逆戻りになりますが、「東京2020大会に開催にともなう一時的なもの」とご理解ください。せっかくのNHKテレビ放映が東京2020大会前には不可能ということもあり、テレビ放映はぜひ続けたいのでここにもってくることにしたのです。また全日本大学選手権を9月10‐13日とし、国体(9月17‐20日)にはぎりぎり大学生も参加できるようにしました。その他の審議事項、報告事項については、今回は省略します。

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この「全国オアズパーソンへの手紙」は、毎月1回発信することを原則として、前回の「第85信」(9月13日)まできました。ところが、ついに1回休んだ格好になってしまいました。残念ですが、8月から9月にかけてのあまりの忙しさに(オーストリア帰りの時差ボケのせいもあり)これを書く体力・気力ともに出てこなかったというのが正直なところです。「選手たちに頑張って目標達成を目指せ!と言っておきながら、後方部隊のスタッフがたるんでどうする」と、昔先輩に叱られたのを思い出しますが、とにかく勘弁してください。以後、頑張ります。

(以上)