公益社団法人日本ボート協会

Japan Rowing Association

日本ボート協会JARA

全国のオアズパーソンへの手紙(第31信)

2015年3月1日
日本ボート協会会長
大久保 尚武
会長写真

2月18日(水)冷たい小雨の降るなか日本代表候補選手たちの合宿練習を観に戸田へ行ってきました。シニア、U23、ジュニアの合同合宿なので、約60名の選手たちでコースは賑わっていましたし、陸では各団体・高校の監督・コーチが10名ほど、選手の漕ぎっぷりを見守っていました。

大林ヘッドコーチに強化の状況を聴きました。この冬は相当高強度の練習メニューを組んでいるので2~3人故障の出た選手もいるようですが、ギリギリのところで、みんな頑張っているということです。

今年の冬季合宿の狙い目、特徴は

  1. 練習量を増やし、漕力・体力を一段レベルアップする
  2. シニア、U23、ジュニアの合同合宿とし、選手の継続強化を図る
  3. 毎回、チャレンジ組にチャンスを与え、選手発掘を狙う

の3点で、「それぞれ、いい成果がでている」ということです。

最終的な今年のシニアとU23の日本代表クルーは、3月9日(月)~12日(木)に決定レースを行って決めることにしています。(ただし、シニアのスイープについては4月になります)ぜひ観戦・応援に来てください。

今年はじつに大事な年なのです。来年のリオデジャネイロ・オリンピックの出漕権が、8月末~9月初旬にフランスのエギュベレットで行われる世界選手権でまず決まります。ぜひここで出漕権を獲得したいのです。もちろん、来年春のアジア枠を狙うチャンスもあるにはありますが、なんとか今年フランスで一気に出漕権獲得を決めたいですね。

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スポーツ選手として体力・気力に優れた新しい人材を見つけ出し、ボートを漕いでもらう――いわゆる「タレント発掘」は今年の最重要のテーマです。

指導・育成を適切に行うことができれば、4年間のボート経験で金メダルを獲得することだって夢ではない。これは3年前のロンドンオリンピックのイギリス女子クルーで証明されていることです。

タレント発掘委員会では、昨年11月から、各地で行われるマシンローイング大会と併催のかたちで、「ワットバイク」(自転車エルゴ)による「トライアウト」(タレント発掘)を行ってきました。関係各位の熱意、そして地元新聞の協力なども得て、今月まで行われた18会場で、なんと556名(男419名・女137名)がチャレンジしてくれたのです。わたしの想定をはるかに超える人数です。(更にあと2会場で実施予定)

この中から第一次選考を通過した17名(男11名・女6名)を対象に、第二次選考を3月16日(月)・17日(火)にJISS(国立スポーツ科学センター)で行う予定です。

さて、どんな選手が現れてくれるか、わたしはワクワクしながら期待して見守っています。大門千紗選手(日田林工高校)のようなすばらしい才能が、きっとどこかに隠れているに違いありません。

この活動は、もちろんこれからも息長くつづけ、特に他競技からの転向選手に焦点をあてていきたいと崎山利夫タレント発掘委員長は話しています。

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国際委員長の千田隆夫さん(FISAの審判委員も務めています)が、昨年のアジア大会(韓国・忠州)についての報告レポートを、日本ボート協会のホームページに載せています。たいそう興味深い内容なので、ぜひ読んでおいてください。

レポートの本論――要約すると「日本はもっとアジアを重視しなくてはいけない。アジア、特に中国に勝つ気概をもつことが、世界で勝つ第一歩のはず」という主旨の考え方には、わたしは全面的に賛成です。これからも一層アジアでのボートを重視していきたいと思っています。

千田さんのこのレポートでは、もうひとつ、最近の審判のあり方・考え方の国際的な変化について、詳しく書かれていて、わたしの知らないことも沢山あって、面白く読みました。

例えば、モーターボートで追いかけるMoving Umpireは波をたてるのでやめて、陸上250mごとに審判を置くStatic Umpireの方向をFISAは目指しているそうです。またクルーのユニフォームの統一も厳しくなって、ソックスまでも同じものに統一した方がいいとか、スタートの号令の「アテンション」と「ゴー」の発声の間合いは一定にしないように(クルーが予測できないように)と審判規則に定められていることなどは、知りませんでした。

以上