公益社団法人日本ボート協会

Japan Rowing Association

日本ボート協会JARA

全国のオアズパーソンへの手紙(第17信)

2014年1月1日
日本ボート協会会長
大久保 尚武
会長写真

明けましておめでとうございます。

みなさんお元気で新年を迎えられたことと思います。わたしは今年も正月5日(日)の戸田での初漕で一年をスタートします。

今年もどうぞよろしくお願いします。

×    ×    ×

2014年度ナショナルクルー(シニア・U23)の第一次選考会が12月14日(土)に戸田コースでおこなわれたので、観に行ってきました。6000メートル・タイムトライアルなのですが、なんと240名の参加で大賑わいです。ナショナルクルーにチャレンジしようとする選手がこれだけいるとは、わたしには思いがけないことでしたが、嬉しいかぎりです。

持ちタイムなどで30名前後の7グループに分かれ、20秒間隔でスタートしてコースを2往復します。学連の諸君が中心になってタイム測定をやってくれていましたが、絶対にミスはできないし、なかなか大変な仕事だと思いました。

結局、シニア男子ではスカル13名、無ペア9クルー、シニア女子でスカル11名。ついでU23男子ではスカル10名、無ペア9クルー、U23女子でスカル9名、以上合計79名が第一次の候補選手として残りました。何人か思いがけない選手の発掘もできたと、選考委員も喜んでいました。ただ今年の選手選考はこれでおしまいではなく、この後も何度か選考の機会をもうけて、出来るだけ幅広く人材発掘をしていこうと考えていますので、ぜひ意欲的にチャレンジすることを期待しています。

×    ×    ×

引き続き12月15日(日)~23日(月)の9日間、ナショナルクルー候補選手達79名は戸田で強化合宿に入りました。途中の19日(木)からは、U19(世界ジュニア大会)日本代表候補選手の高校生41名(男子20名、女子21名)が合流しますので、今回は日本で初めて、シニア、U23、ジュニアの3つが一緒になっての強化合宿ということになります。

これは画期的なことです。わたしは21日(土)に戸田に見学に行ってきましたが、コースを埋める多数のクルーたちが、それぞれのレベルで漕いでいる姿を観て「この合同合宿がようやく実現したんだ!」と感慨にたえませんでした。この合宿を実現にまでこぎつけた強化委員会のみなさんの構想力・実行力に、心から敬意を表します。

ほんとうに世界レベルで戦える選手を育てるためには、ジュニア-U23-シニアと、ブツブツと切れるのではなく、継続的に連続して育成指導することが不可欠だと思います。世界のボート強国では常識になっているこの仕組みが、日本では残念ながら出来ていなかった。「どうしよう」と強化委員会のみなさんとはいつも話していました。それを今回このようなかたちでまずスタートしてくれたのです。

参加した選手諸君がどんな感想をもったかも、ぜひ聞いてみたいなと思いました。シニア、U23、ジュニア、それぞれがいろんな刺激をうけたのではないでしょうか。世界レベルの名選手の漕ぎをすぐ横でみられるチャンスなど、そうあるものではないので、この経験をぜひ活かしてほしいと思います。

いつの日か、きっと新しい強豪選手がこの中から育ってくれる。わたしはそう信じています。

×    ×    ×

もうひとつ、この合宿でわたしが興味をもったのは、「ストレングス・トレーニング」と呼ばれる、長内暢春さん(戸田ナショナルトレーニングセンター・専任ディレクター)が指導する「身体能力強化トレーニング」についてです。

この面での知見は圧倒的に進歩していて、わたしの古い経験などではまったくついていけないのですが、それでも「筋力パワー」や「最大酸素摂取量」を大幅に増やさなくては戦えない(海外一流選手と比べると15パーセントは足りない)などという話は理解できます。見ていて、驚き、興味をもったのは、一種のリズム感(センス)を高めるため(だろうと、わたしは理解したのですが)のトレーニングです。具体的な中身を説明できなくて申し訳ありませんが、長内先生の「クルーの漕ぎをシンクロさせるためには、リズム感を共有しなければなりません。そのためのトレーニングです」という説明には、「なるほど、前を漕ぐ選手の動きを見てから漕ぐのでは、必ず遅れる。クルーがまったく同時に漕ぐためには、このレベルまでの練習が必要なのだ」と自分なりに納得できました。

うまく説明できなくてすみません。ぜひ一度見学してみてください。

×    ×    ×

2020年の東京オリンピックにむけて、国のほうの動きは相当活発になってきました。来年度以降のスポーツ関係予算が大幅に増えるのにあわせて、ボート協会のほうにも「メダル獲得にむけた強化計画を出してください。それに応じて強化予算の査定をします」という指示・要請が来ています。他の競技団体では、かなり強気かつ楽観的な計画をだしているところもあるようです。

わたしとしても、国会議員の方などにお会いする機会には、できるだけ具体的にボートの実情をお話し、課題にご尽力いただけるようお願いしています。特に強化体制の整備と「海の森ボートコース」の建設については、詳しくお話することにしています。

12月9日(月)には鈴木けいすけ衆議院議員(東大ボート部OB)にお会いしましたが、「国の動きなどをできるだけ報告します。また議員の中の賛同者を増やさなくては……」とおっしゃっていました。

また、12月17日(火)には遠藤利明議員(東京オリンピック・パラリンピック招致議員連盟幹事長)にお会いし、「海の森ボートコース」の建設などについてお話し、お願いしておきました。「スポーツ庁は2015年になるが、必ず作る」「オリンピック組織委員会の人事をどうするかだなあ……」とつぶやいておられました。

以上