第28回全国高等学校選抜ボート大会


2017年3月18日(土)~20日(月)の3日間、浜松市天竜ボート場で「第28回全国高等学校選抜ボート大会」が開かれました(主催:日本ボート協会、全国高等学校体育連盟、浜松市、全国高等学校選抜ボート大会実行委員会。主管:全国高等学校体育連盟ボート専門部、中部ボート連盟、静岡県ボート協会)。

第28回全国高等学校選抜ボート大会
選手宣誓(伏見工業高校・遠山秀雄選手、鳥取商業高・谷口舞選手)

『春到来!』という表現がぴったりの天候に恵まれたこの大会、ボートの「聖地・天竜」の早咲き桜とウグイスが全国からの代表384選手を温かく迎えてくれた。

◆W1x

第28回全国高等学校選抜ボート大会
女子シングルスカル優勝:美方高・新田明美(神戸ボートクラブOG)

1年生ながら16年度U19代表で今年度のU19代表候補でもある美方高・新田明美(神戸ボートクラブOG)が予想通り前半から飛び出した。どちらかと言えば小柄だが自分の力をロスなく艇速に繋げるというイメージの漕ぎを見せてくれた。1500mで2位以下に1艇身以上の差をつけていたが、大きな漕ぎで追い上げる日田高・宇野聡恵に差を詰められる。しかし新田は慌てることなくレートを38まで上げて半艇身差で逃げ切った。美方高としてはこの種目13年ぶり2回目の優勝を飾った。

◆M1x

第28回全国高等学校選抜ボート大会
男子シングルスカル優勝:伏見工業高・遠山秀雄

昨年の本大会では僅差で優勝を逃した伏見工業高・遠山秀雄だったが、満を持して臨んだこの大会で見事に雪辱を果たした。前半こそ備前緑陽高・太田海也にリードを許したが、第3クォーターで逆転、力強い漕ぎで2位以下を見ながらの余裕のゴール。16年度のU19代表での経験を活かしたレース展開で18年ぶり、3回目の優勝を果たした。2位争いは し烈 だった。ラストクォーターではトップタイムで猛追した瀬田工業高・島田隼輔だったが、わずかに0.02秒及ばず、2位太田、3位島田となった。

◆W2x

第28回全国高等学校選抜ボート大会
女子ダブルスカル優勝:美方高(大崎未稀・武長凪那(美浜中OG))

ゴール付近の観客席からだとレースの中盤まではなかなか状況が分かりづらい。保護者と思われる方が「今トップで1000m通過だって」と周りの人に伝えている。携帯で連絡を取り合っているようだ。その情報に保護者もにわかにザワついてくる。美方高は遠目でも大きな漕ぎというのが分かる安定した漕ぎで本荘高の猛追をかわし、半艇身差をつけての嬉しい初優勝。応援団の声援に嬉しそうな笑顔で応えていたのが印象的だった。3位は宇和島東高。

◆M2x

第28回全国高等学校選抜ボート大会
男子ダブルスカル優勝:若狭東高(小見山敬弘(神戸ボートクラブOB)、松岡拓実)

若狭東高の小見山敬弘(神戸ボートクラブOB)・松岡拓実ペアがレースの前半から抜け出し、他クルーを圧倒して嬉しい初優勝を飾った。決勝に出たクルーの中では一番小柄ではあったが力強いオールの2年生ペア。若狭東高の2年生はこの2人だけで後は1年生が5人のみという。「当面の目標はこのペアでインターハイを制覇することです」と重田稔明監督(日本大OB)が胸を張って宣言した。2位には今治南高が、米子工業高とのデッドヒートを0.41秒差で制した今治西高が3位に入った。

◆W4x+

第28回全国高等学校選抜ボート大会
女子舵手つきクオドルプル優勝:加茂高(野中怜菜、西田結惟、市田佑来、渕上茉央、鈴木里都)

「優勝したらどうしよう、ドキドキするね」準決勝をトップタイムで上がった熊本学園大学付属高の保護者談。しかしクルーが近づいてくるとどう見てもU19代表候補の西田結惟選手が整調を漕ぐ加茂高の方がリードしている。期待に溢れていた声援が徐々に悲鳴に近い声援に変わっていった。結局軽快なリズムを保った加茂高が2位の熊本学園大学付属高に約1艇身の差をつけてゴールし、3年ぶり3回目の優勝を遂げた。3位は横浜商業高。

◆M4x+

第28回全国高等学校選抜ボート大会
男子舵手つきクオドルプル優勝:美方高(山下森也、河畑晴斗(美浜中OB)、藤長寿哉(同)、大野良太(同)、武長聖典(同))

これがあるからボートは面白い!そんなレースだった。優勝候補と下馬評の高かった熊本学園大学付属高。予選、準決とトップタイムで決勝に駒を進め、決勝も息の合った漕ぎでトップでゴール前まで。あと100mのところで美方高に並ばれた。どうやら美方高の方が勢いがあったようだ。「ラスト、上げろ、上げろ~」との声援に押されるように艇速をさらに伸ばし、ゴール寸前で劇的な逆転勝利。美方高が3年ぶり、4回目の優勝を果たした。悲願の初優勝をほぼ手中にしていた熊本学園大学付属高には残念ながら勝利の女神は微笑んでくれなかった。ゴール後もしばらくため息が漂っていた。

【東海レポーター 酒井 康行】

レース結果はこちら
http://www.jara.or.jp/race/2016/2016highschool_result.pdf

レース映像はこちら(提供:aomonoya)
https://youtu.be/yWe4z7jyQLg?list=PLQQuLGC1AaZI71X0iDhvxi8CJw_s1EQru

第28回全国高等学校選抜ボート大会
「オリンピアン講演IN 天竜」で講演する1984ロス・1988ソウル・1992バルセロナ五輪代表・阿部肇氏(仙台大監督)

第28回全国高等学校選抜ボート大会
「オリンピアン講演IN天竜」で講演するリオ五輪代表・大石綾美選手(アイリスオーヤマ所属、早稲田大・猿投農林高OG)

第28回全国高等学校選抜ボート大会