ボート競技を題材にした推理小説発刊


英国テムズ川を舞台としたボート競技の推理小説『警視の挑戦』が発刊されました。 本書は英国のミステリー作家デボラ・クロンビー氏(Deborah Crombie)による 「ダンカン・キンケイド警視&ジュマ・ジェイムズ警部補シリーズ(Duncan Kincaid & Gemma James series)」の第14作です。

◆あらすじ

一人の女子選手がシングルスカルの乗艇中に溺死した。 彼女はロンドン警視庁の警部であり、かつては五輪出場を期待されていたほどの選手であった。 30歳を超えた今、五輪への再チャレンジをかけてまさに練習を始めていたところだった。 彼女は、人けの無い時間帯に一人で練習していたため、当初は「突然死」による事故と思われていたが、 キンケイド警視はさまざまな物証や意見から他殺を疑う。

被害者を取り巻く人間関係から、次々浮んでくる容疑者。 前夫・元コーチ・修理を生業とする元選手・警察関係者。 そして、捜査に加わる「捜査救助犬」からも目が離せない。

世界的に有名なオックスフォード大とケンブリッジ大の“The Boat Race”。 出場選手は勝敗に関わらず「栄誉」を手にし、その後の人生の「成功」を約束される。 被害者の元夫もその一人だったが、女子選手には、そのチャンスがない。 その栄誉に変わるものを手に入れるには「五輪」でのメダル獲得しかないのだ。 一人、再チャレンジをかけて練習していた女性が、なぜ夢を断たれなければならなかったのか。 事件は複雑な顔を見せ始める。

ボート競技を題材にした英国ミステリシリーズ最新刊発売

ブックレビュー

「ボートに関わる生き方は多様である」と改めて思わずにはいられません。 また、英国内での身近なボート経験者の多さ(警視の部下も、高校では経験者)にも驚かされました。 ボートというスポーツが英国でどのように大切に思われているのかを、 ミステリーという形で知ることが出来る興味深い一冊です。 600ページを超えますが一気に読ませる面白さがあります。
【ローイング編集部】

◆体裁

著者:デボラ・クロンビー
訳者:西田佳子
タイトル:警視の挑戦
出版社:講談社
発売日:2017(平成29)年2月15日
価格:1100円(税別)
原題:No Mark upon Her(2011(平成23)年発刊)