公益社団法人日本ボート協会

Japan Rowing Association

NTC競技別強化拠点NTC FOR ROWING

NTC競技別強化拠点 戸田ナショナルトレーニングセンター(T-NTC)便り

2013年01月25日
NTC競技別強化拠点
戸田ナショナルトレーニングセンター(T-NTC)便り No.31
1.日時
2013年1月15 日(火)~1月25日(金) 8:30~17:30
2.場所
戸田公園ボートコース  国立スポーツ科学センター戸田艇庫2F
戸田ナショナルトレーニングセンタートレーニングルーム
3.事業
シニア日本代表選考1月合宿
4.対象
シニア日本代表候補選手(男子35名、女子9名)
5.内容
水上トレーニング  陸上トレーニング
6.指導
水上:阿部肇ヘッドコーチ(JARA)、武良誠コーチ(JARA)
陸上:戸田ナショナルトレーニングセンター 長内暢春ディレクター

昨年12月に実施された一次評価選考通過選手および追加選手による1月合宿が終了した。 今回、陸上トレーニングの指導を戸田NTCディレクターの長内氏が担当したので概要を報告します。

講習1 1月19日(土) 座学(講義) ローイングの体力特性とトレーニング(120分)
講習2 1月21日(月)~23日(水) 実技&プレゼン 推進力がアップする乗艇前の体幹筋ウォームアップ(90分)

《講習1のキーワード》

1.力強く 粘り強く うまく
筋・骨格系、呼吸・循環系、脳・神経系のいずれかに立ち戻ろう
2.体づくり 動きづくり
鍛え上げた筋肉や心肺を発揮するには、動きづくりのトレーニングをしよう
3.ストレングス コンディショニング
動きづくりのために、コンディショニングトレーニングをしよう
4.伸びる 操る 弾ける
動的柔軟性、動的調整力、爆発的パワーを機能的に取り入れよう
5.筋持久力 スピード持久力
体づくりでは、圧倒的な筋持久力とスピード持久力を養おう
6.ずれ コーディネーション
動きのずれは、コーディネーションで機能美を追求しよう

講習1では、ある選手の事例研究から具体的な数値を題材にレースとトレーニングを振り返りながら、 ローイングの体力特性とトレーニングについて展開していきました。 特に、筋トレで鍛え上げた筋やエルゴで粘り強くなった心肺を艇でどう発揮するのかを考察してもらいました。 強く漕ぐ、粘り強く漕ぐためには、巧く漕ぐための陸上トレーニングが必要であること。 つまり、体の動かし方、体の使い方を具体的にトレーニングしなければ鍛えた体を活かすことはできない。 そのために、コンディショニングトレーニングの必要性が生じてくることを強調しました。 阿部HCがナショナル選手時代に測定されたあるクルーのデータを例に、ずれと艇速の関係について考察し、 クルーボートにおけるコーディネーション能力の必要性について言及していきました。

《講習2のキーワード》

1.体幹とは胸郭・腹・骨盤の部分
そこに脊柱が串刺しになっている
2.体幹筋とは胸・背・腹・尻の筋
腹筋、背筋だけじゃない
3.体幹筋は層になっている
内と外から固めよう
4.ボート選手のめざす体型はドラム缶!
便所のマークじゃない
5.腰の反り反り・曲げ曲げは避けよう
アスリートはニュートラルゾーンを広げよう
6.腰の曲げ伸ばしで腰痛が発症する
屈曲型腰痛と伸展型腰痛
7.乗艇後には曲げ・反りのストレッチをしよう
特にマッケンジー体操のパピーポジション
8.いつも自然なS字カーブにしておこう
乗艇後に丁寧なクーリングダウンをしよう
9.骨盤のニュートラルポジションを覚えよう
動く前の最初のポジションが大事
10.似ているけど違う動きを、
(1)ごちゃまぜにするのをやめよう (2)正確な表現を身につけよう
11.動くところは動かそう、固めるところは固めよう
モビリティ関節とスタビリティ関節   胸椎VS腰椎

《実技内容》

1.姿勢のチェック
立位/座位/四つんばい/アスレチックポジション
2.腰椎骨盤リズムの再学習
8パターン(骨盤前傾/後傾、骨盤前方移動/後方移動、腰椎屈曲/伸展、股関節屈曲/伸展のコンビネーションリズム)
3.腹筋群の再学習
深層筋だけ、表層筋だけ、表層筋と深層筋、ドローインからグローバル筋による体幹固定
4.体幹筋のウォームアップ
6エクササイズ(骨盤のニュートラルポジション学習から上肢・下肢を運動連鎖させた動きへ)

左から長内NTCディレクター、阿部ヘッドコーチ、松澤医師(整形外科医)、部谷JOC専任アスレチックトレーナー

エルゴを使ってフリーウェイトによるストレングストレーニングとの動作特異性のちがいについて説明。

バーベルの軌道、運動連鎖、パワーの伝達についてデモンストレーションしている様子。