公益社団法人日本ボート協会

Japan Rowing Association

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全国のオアズパーソンへの手紙(第98信)

2020年10月1日
日本ボート協会会長
大久保 尚武
会長写真

スポーツのない毎日が、アスリートにとっても観客にとってもいかに退屈で張りのないものであるか、つくづく思い知らされた半年でした。が、ようやく陸上、水泳をはじめいろいろな競技で大会が開かれるようになり、ボートも9月に入る頃から何ヵ所かでレガッタ開催のニュースが聞かれるようになりました。わたしもこの9月、2つの大会の観戦に行ってきました。

最初は9月13日(日)に長野県諏訪湖で開催された「第39回下諏訪レガッタ」です。舘次郎さん(全国ボート場所在市町村協議会顧問)、岡本悟さん(パラローイング本部長)が一緒です。

下諏訪町では今春、旧艇庫跡地周辺を全面的にリフォームして新しく「下諏訪ローイングパーク」を完成させました。その完成を記念して、コロナ禍の中ではあるけれど「恒例の下諏訪レガッタはぜひ開催したい」という町と県のボート関係者の強い熱意が、無事開催にまでこぎつけたのだと思います。町民を中心に60クルーもが参加して、いろいろな感染防止対策を守りながら皆さん嬉々としてボートを楽しんでいました。

施設はユニークなデザインの新艇庫(135艇収納可能)、3本の桟橋(災害時には輸送船用にも使える)、足湯施設などアイデアいっぱいの素晴らしいものです。「紹介パンフレット」には中学校1校、高校4校のボート部員から「この新艇庫で質の良い練習をして、きっと勝ちます」といった声が寄せられていて、ボートの町をほうふつとさせて読んで嬉しくなります。

下諏訪町長の青木悟さん(明治大学ボート部OB)は、この12月に4期務めた町長をおりるそうです。レガッタで街を活性化しただけでなく、パラローイングに対する助成、また全国ボート場所在市町村協議会の会長を務めるなど、ボート普及に大きく貢献していただきました。ほんとうに長い間ありがとうございました。

9月19日(土)には大阪府の浜寺ボートコースで開催された「全国高等学校ボート選手権 特別大会」に行ってきました。今年はコロナ禍の影響でインターハイが中止、国体が延期となり、高校ボート部にとって活躍の場がほとんどない異例の年となりました。そこで特に3年生ボート部員のために「ぜひ特別大会を」という高体連ボート専門部をはじめとする先生方の強い熱意により開催となったものです。それに応えてくれた大阪府、大阪ボート協会をはじめとする関係者の皆さん、ほんとうにありがとうございます。

コロナ対策でまだ全国大会参加が許されていない学校もあり、またコロナと猛暑で十分な練習もできなかったと思いますが、それでも29都道府県から69校141クルーが参加してくれました。初日こそ強風でレースができませんでしたが、残り2日間は好コンディションのもと、充実した大会でした。

本大会実行委員会会長の植田健三さん(大阪ボート協会理事長)は「やはり新型コロナ感染症対策にいちばん気をつかいました」と言っておられました。さまざまの感染予防対策を講じられ、いわば全国規模のボート大会のモデルといった形で、わたしも参考になりました。

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9月25日(金)今年第2回の定例理事会が23名の出席(欠席は5名)で開催されました。主な決議(報告)事項をお伝えしておきます。

1.全日本選手権における観戦規制とネット配信について
10月8日(木)-11日(日)戸田ボートコースにて全日本選手権を開催しますが、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、さまざまな規制をします。詳細はホームページに掲載していますが、特に3密を避けるために「観戦・応援を全面禁止」とする点、OB・OGの皆さん、ご家族の皆さんにとって不本意なことと思いますが、ここはぜひ趣旨をご理解いただきご了承、ご協力願います。
それをおぎなうために、YouTubeによるネット配信を全レースについて行います。また決勝レースは、NHK(BS)で14時~15時55分まで約2時間生中継します。ご期待ください。
2.強化委員長の交代と強化活動の現状
強化委員長(兼)タレント発掘委員長の長畑芳仁さんが勤務の都合上、9月末でやむをえずの退任となりました。2017年4月から3年半の在任でした。目標としてきた2020東京の結果を見届けたかったでしょうが、残念です。後任は三好悟さんにお願いします。昨年12月から強化委員会のオフィサーを務めていますので、現状は十分に知っておりまったく心配はいりません。職場の理解も得られ、フルタイムで強化活動に当ってくれます。三好さんの現役時代の活躍はご存知の方も多いと思いますが、ロサンゼルスとソウル、2度のオリンピック代表選手です。たまたまわたしが強化部長を務めていた時なので、漕ぎっぷりも目に焼きついています。
日本代表候補選手の強化状況も報告されました。毎回合宿の最終日にはタイムトライアルを行い、進捗をチェックしていますが、今回9月4日に行われた田瀬湖合宿でのタイムトライアイル結果が報告されました。各クルーともほとんどが自己新を出していて、順調に強化が進んでいることをうかがわせます。LW2Xの6分54秒80は希望を持たせてくれるタイムです。またM1Xの6分50秒88も「ここまで来たか!」というタイムですが、世界で戦うためにはあと6~7秒、縮めてほしいところです。
わたしがこの結果を見ていちばん嬉しかったのは、タイム落ちが全くといっていい程無くなった点です。ほとんどの選手が第4クォーターで第1クォーターに次ぐラップタイムを出しています。ギザビエ流の体力強化、漕法革新の結果がでてきたようです。まだ途上ではありますが、いい結果を残してくれました。
3.コースタルローイング規定の制定
FISAは数年前からコースタルローイングの普及を各国に呼びかけています。それを受けて日本でもまず協会組織に「コースタルローイング委員会(岡本悟委員長)」を設け、次いで今回の理事会で「コースタルローイング規定」と「ビーチローイングスプリント規定」の2つを制定して、まずは体制を整えました(広義のコースタルローイングの中に、狭義のコースタルローイングとビーチローイングスプリントの2種目が含まれるということのようです)。わたしはまだ実際のレースを観たことがないのでうまく説明できませんが、狭義のコースタルローイングはヨット競技をイメージするといいようです。海上に3~4コのブイを浮べ、1周6~8㎞(距離は決まっていない)のかなり長いコースで勝負を競うものです。種目は男女合わせて10種目で混合の2x、4x+があるのが特徴です。艇は浮力の十分あるやや幅広の専用艇で、協会としてもとりあえず2x3艇を購入しました。ビーチローイングスプリントは砂浜を10~50m走って艇に飛び乗り、250m先のブイを廻って砂浜にもどり、ゴールまでまた10~50m走るという、かなり娯楽性を加味したもののようです。次回のパリ五輪から軽量級種目がなくなることは確実視されていて、FISAとしては代わりにこのコースタルローイングを加えるようIOCに対して働きかけるようです。

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IOCトップの東京五輪の開催に関する前向き発言が相次ぎ、一気に明るい雰囲気になってきました。9月7日、IOCのジョン・コーツ調整委員長(東京五輪担当)が「東京五輪はウイルスがあろうがなかろうが開催される」と発言しました。この爆弾発言で一気に突破口が開かれ、9月22日にはIOCバッハ会長がホームページで「東京大会開催に自信」と発言、ウイルスと共生する中での東京大会開催、という方向性が明確になりました。ボートとしては、アジア・オセアニア大陸予選がいつ、どこで開催されるのかがいちばんの気懸りです。中東などでの開催にならないことを祈ります。

(以上)