公益社団法人日本ボート協会

Japan Rowing Association

日本ボート協会JARA

全国のオアズパーソンへの手紙(第59信)

2017年7月1日
日本ボート協会会長
大久保 尚武
会長写真

6月17日(土)日本ボート協会の「平成29年度定時社員総会」が開かれ、昨年度の事業報告、決算、新理事2名の選任など5つの審議事項が承認されました。引き続いて理事長並びに担当理事から、今年度の事業計画・予算など6つの事項が報告されて約2時間で総会は終了、その後懇親会で旧交を温めました。

ここでは皆さんに3つの件をご報告しておきます。

ひとつは、このところ国(JOC、JSCなど)から交付される補助金が急激に増えています。東京2020オリンピック・パラリンピックに向けてということはもちろんですが、やはりスポーツ庁が独立して、日本のスポーツ行政に一本筋が通ったことが大きいと思います。日本もようやくスポーツ先進国に追いつきはじめたということです。

日本ボート協会への補助金(コーチに直接支払われている報酬も含めて)は、4年前(平成25年度)には7,600万円だったのが、昨年(平成28年度)は2億4,700万円になりました。ありがたいことです。これがなければギザビエNSDの招聘は不可能でしたし、今のように長期の海外合宿もできません。あとは「これに見合った結果を出すこと」この責任はどうしても果たしたいと強く思っています。

ふたつ目は理事の人事です。3名の方(鈴木仁(死去)、崎山利夫、上野裕芳の各氏)が退任し、新たに長畑芳仁さん(強化委員長兼タレント発掘委員長)と流石淳子さん(審判委員長)のお二人が選任されました。どうぞ宜しくお願いします。なお流石さんが加わって女性理事は4人になりました。

3つ目は「日本ボート協会100周年記念事業」についてです。大正9(1920)年に創設された日本漕艇協会(旧称)はちょうど東京オリンピックの年に100周年を迎えます。記念事業をどうするか、プロジェクトをつくって検討を始めました。

現在4つの事業案を考えています。

  1. 記念式典・祝賀会(2020年11月頃)
  2. 海の森水上競技場こけら落とし記念レガッタ(2019年6月頃)
    海外クルー(オックスフォード、ケンブリッジ大学等)の招待を予定
  3. 100周年記念誌発刊
  4. 日本ボート協会競漕規則の改定

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6月9日(金)の国際オリンピック委員会(IOC)理事会で2020東京大会でのボート競技の種目と参加人数枠の変更が正式に決まりました。

まずは種目についてですが、昨年のリオデジャネイロ同様14種目を維持することができました。これは2月のFISA臨時総会で決まった通り、男女参加人数枠の考慮もあり軽量級男子舵手無しフォアが削られ、オープンの女子舵手無しフォアが加わり男女7種目ずつということで正式決定です。

次に参加人数枠ですが、24人減らされて総数526人(男女263人ずつ)になりました。どの種目で減らすのかは未定です。この結果、ボートは自転車競技(528人)に抜かれ、33種目中第4位になりました。(1位陸上競技1900人、2位水泳1410人)FISAでは軽量級種目の維持、拡大に向け今後更に検討を進めていくようですが、心配なことです。

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アジアボート連盟(ARF)の王石会長が6月12日(月)に来訪されましたので、木村理事長、細淵理事、相浦事務局長と一緒にお会いし意見交換をしました。

王石会長はアジア(中でも自国の中国)でのボート普及にたいへん熱心で、常々日本に対して「アジアのボート発展途上国への支援に力を貸して欲しい」と要請されています。今回は「日中間でなんらかのレガッタを新設できないだろうか」という相談です。当方からは「新設というより、現在既にあるレガッタ(例えば「日本マスターズ」など)に参加の途をつけてはどうか」と提案し、その線で今後検討していこうということになりました。

ここでアジアのボート事情を簡単に紹介しておきましょう。

ARFの加盟国は36ヵ国、世界選手権に参加する国もいくつか出てきましたが、まだ大半はボート発展途上国です。

一方でARF主催の大会は、今年は7大会に増えました。アジアマスターズ(11月 中国/廈門)アジアインドアローイング(11月 マレーシア/ジョホールバル)アジアコースタルローイング(12月 中国/深圳)などが新設されたのです。日本としても積極的に参加していくこととし、協会(強化委員会)としてアジア選手権(9月 タイ/パタヤ)とアジアジュニア選手権(10月 シンガポール)にはナショナルチームを編成して臨むことにしています。その他個別クラブとして参加可能な大会もありますので、ぜひ検討してみてください。

なお「コースタルローイング」とは静水直線のボートコースではなく、海にブイを浮かべてそれを回ってくる、といったボートレースです。日本ではまだ正式な大会は行われたことはありませんし、それ用の専用艇もありませんが、島国でも出来るということで、FISAも推奨しているものです。

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今月もいくつかのレガッタやイベントに顔を出してきました。

  1. 6月3日(土)4日(日)全国マスターズレガッタが戸田で開かれました。今年は節目の第10回、しかも戸田での開催ということもあり1,000名以上のマスターズ達で大賑わいでした。ご存知のように、昨年は熊本地震のため菊池市斑蛇口湖での開催予定が残念ながら中止となったため2年振りの開催です。3日夜の懇親会では、昔この戸田コースで戦った戦友同士の話で大盛り上がりでした。来年は今度こそ斑蛇口湖で開催ということで、菊池市の江頭実市長さんも来てくれていました。
  2. 6月11日(日)江戸川区ボート協会会長の行木陽一(なめきよういち)さんの「東京都体育協会表彰生涯スポーツ功労者」受賞祝賀会に出席してきました。わたしは、この江戸川区ボート協会は地域に密着し小中学生にボートを教えるボートクラブとして、ひとつの典型でありモデル的な存在だと思い注目してきました。2001年の創立ということですが、行木さんを始めとする往年の名選手で固めたコーチ陣、そしてしっかり会を支えてきた事務局長の鈴木慶子さんなどの活動により、すばらしいボートクラブに成長してきました。わたしも以前、旧中川での練習を見にいったことを思い出しました。行木さん、本当におめでとうございます。
  3. 6月24日(土)札幌市と石狩市の間にある茨戸川で開かれた「朝日茨戸レガッタ」に行ってきました。早朝7時30分からの開会式で「札幌出身のオアズマンなのに茨戸レガッタを見るのは今回が初めて」とお詫び旁々挨拶をしました。あいにくの小雨模様で肌寒い一日でしたが、中川信治さん(札幌ボート協会会長)や東乙比古さん(北海道ボート協会長)などから、北海道のボートの様子などを聞いたり、また地元石狩翔陽高校のクルー諸君に囲まれて写真を撮ったりで、愉快な一日でした。
    10時頃には田岡克介石狩市長も顔を出してくださり、今後、道などとも協力し「ボートに力を入れていきたい」との力強い話で、みんな大喜びでした。

  4. 1960年のローマオリンピック代表(エイト)の千葉建郎さん(東北大OB)が6月20日急逝されました。
    満身創痍に近いなかでも最後までボートを漕ぎ続ける姿は凄味さえ感じさせました。一昨年、ローマ五輪が行われたアルバノ湖へご一緒したことがよい思い出になりました。ご冥福をお祈りいたします。

以上

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