公益社団法人日本ボート協会

Japan Rowing Association

日本ボート協会JARA

全国のオアズパーソンへの手紙(第56信)

2017年4月3日
日本ボート協会会長
大久保 尚武
会長写真

男子軽量級舵手なしフォア(LM4-)が2020年東京オリンピックの競技種目から外されることがほぼ確定したことにより、日本ボート協会として、強化の基本方針を見直すことにしました。

3月24日(金)開催の定例理事会で、2020年東京オリンピック及びその後に向けた強化の「基本的な考え方」を次の通り決議しました。

[強化に関する基本的な考え方]

  1. 軽量級種目では、オリンピック種目として唯一残り、かつメダル獲得の可能性がある男女ダブルスカルの強化に一段と集中して、世界大会でのメダル獲得レベルまでの到達を確実なものにする。
  2. オープン種目においても、現状を分析・評価した上でオープン選手の基盤強化を図りつつ、世界レベルの大会への参加、さらにメダル獲得を狙う。特に種目転向型タレント発掘による選手発掘・育成を推進する。なお、ターゲットとする種目は候補選手の仕上がり状況を勘案しつつ決定する。

見直しのポイントは、オープン種目の強化にも注力する点です。強化の体制とか進め方は、ギザビエNSD(ナショナル・スポーツ・ディレクター)のもとで着々と整ってきています。彼の狙う「ALLJAPAN体制」で世界と戦い勝つために、協会としてもできる限りの努力をするつもりです。選手諸君はもちろん、各団体の理解とご協力をあらためてお願いします。

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「2017年ナショナルチーム最終選考本戦」が3月27日(月)から4日間、戸田コースで開かれ、6カテゴリー(ジュニア男女、シニア・U23の軽量級男女とオープン男女)に計91名の代表候補選手が参加し、全員シングルスカルで戦いがくりひろげられました。

レース結果はホームページでご覧下さい。ナショナルチームはこのレース結果をベースに別途選考委員会で決定されました。

わたしは28日の予選と30日の決勝の2日間、観戦に行ってきました。両日とも好コンディションのもと、さすがに候補選手のレースだけあって、レベルの高い熱戦が続きました。一番印象に残ったのは厳しい「緊張感」です。シーズンインしたばかりのこの3月の段階で、選手たちがこれだけ懸命に戦う姿を観て、ある種感動を覚えました。土手の監督・コーチ達、そして強化委員会の面々も厳しい表情でした。ギザビエNSDの方針が徐々に浸透してきているのかな、と思ったことです。

各カテゴリーの上位3選手に花束が贈られました。わたしからは「今日が今シーズンのスタート。世界のボート強豪国に一歩でも喰い込めるよう、健闘を祈る」と激励のことばをかけました。

強化委員会では、世界で戦える(実質、世界選手権で勝てる)基準タイムとして「Ideal Time」を定めています。このタイムに対して何パーセントまで行けたかで、世界レベルへの到達度を測る目処にしているのですが、現時点では90パーセントレベルに達しているのは、軽量級男女でそれぞれ1~2名程度です。95パーセントレベルでA決勝に残れるといったところでしょうか。

参考までに今年のシングルスカルの「Ideal Time」を書いておきます。

男子 女子
オープン 軽量級 オープン 軽量級
6’29‘ 6‘35’ 7‘03’ 7‘15’

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JOCが行っている有望若手選手育成事業に「エリートアカデミー事業」があります。各競技種目の有望若手選手を東京西が丘のナショナルトレーニングセンターで共同生活をさせ、そこから学校にも通わせながら、他競技との交流も図り、「心・技・体」の総合的強化育成を図ろうというものです。

今年からボートでも2名のアカデミー生を参加させることにしました。松田京子さん(北九州RC)と青木洋樹君(隅田川RC)の2人で、この4月から高校1年生です。2人とも今回のナショナルチーム選考大会に、高校生にまじって参加し、健闘していました。

このJOCエリートアカデミー事業の責任者である平野一成ディレクターも顔を見せてくださりました。ボートとして初めての参加なので、「大いに期待しています。どうぞよろしくお願いします」とわたしからもご挨拶しお願いしておきました。

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4月1日付で4つの委員会の委員長が交代することになりました。上野裕芳さん(審判委員長兼2020特別委員長)と崎山利夫さん(強化委員長兼タレント発掘委員長)がそれぞれご都合で退任することになったので、その後任人事です。

1.審判委員長
流石淳子さん
(現 審判委員会オフィサー)
2.2020特別委員長
細淵雅邦さん
(現 理事、FISA理事)
3.強化委員長 兼 タレント発掘委員長
長畑芳仁さん
(現 強化委員会オフィサー)

なお、流石さんと長畑さんは、6月の総会で業務執行理事に就任予定です。

前任者同様、どうぞ宜しくお願いします。

以上