公益社団法人日本ボート協会

Japan Rowing Association

日本ボート協会JARA

全国のオアズパーソンへの手紙(第47信)

2016年7月1日
日本ボート協会会長
大久保 尚武
会長写真

6月4日(土)日本ボート協会の総会が、84名という多数の社員(各県の代表者と有識者)の出席を得て開催されました。議事は滞りなく進み、その後の懇親会ではまず、「リオデジャネイロ・オリンピック、パラリンピックでの日本クルーの健闘を祈念して!」全員のウォークライ3唱でスタート、あとは、賑やかな懇談で1時間半の会もアッという間に終わりました。

今年の総会の最大課題は、「2020東京大会」に向けた体制整備です。新たに「2020特別委員会」を新設し、FISA、組織委員会、東京都との連携を密にして、万全の準備体制をとることにしました。委員長にベテランの上野裕芳さん(審判委員長兼務)に就いてもらい、委員として、FISAの委員を務めている細淵雅邦さんと日浦幹夫さんのお二人に新理事として入ってもらいます。

また退任した村上潔広報委員長の後任として吉田健二さんに理事に就いてもらいました。すでにホームページ改革とかオリンピック選手のメディアへの公開練習と記者会見(6月15日 30社が参加)など、‘戦う広報’を実践してくれています。

もう一人、黒田直子さんに総務担当理事を引き受けてもらいました。これで女性理事3人になりましたが、まだまだ足りないと思っています。

以上4人が新任理事で、これで3名増の24名体制になりました。

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最後にわたし個人のことをちょっとお話しておきます。

再度会長に推挙されお受けすることにしました。13年目に入ります。

最初に就任したのは2004年5月(長良川世界選手権の前年)。亡くなった浅見栄一理事長(当時)の強引かつ執拗な説得にとうとう負けてお引き受けしたのですが、その時の浅見さんの口説き文句が「年に3回、総会と国体と全日本に顔を出してもらえればいいんだから……」という仲人口でした。それを信ずるほどウブでもありませんでしたが、とは言え、多忙な貧乏会社の社長在任中でもあり、あまりレースにも行けず、お役に立てなかったのでは、と思います。それが、2012年8月のロンドンオリンピックメダリストの銀座パレードを見て、そこにボート選手がいないのを見て、口惜しくて、心境に変化をきたしたのです。

「あのバスにボート選手を乗せたい!」強くそう思いました。「可能だろうか?」心の中で自問自答しましたが、「必ずできる。他のスポーツでできているのにボートでできない訳がない」と思いました。

そのためには、まず、現役選手、コーチの皆さん、それを取巻くボート関係者、そしてボート協会スタッフの「意識改革」が必須です。「世界で勝つ」と本気で思わなければ何も変わらないのです。そして次に必要なのが具体的な体制の改革・整備なのです。そういう思いでわたしはすぐ次の9月から、この「全国のオアズパーソンへの手紙」を書いてホームページに載せはじめたのです。

継続して会長職をお引き受けした以上、残された期間わたしは情熱と執念を持って(しかし謙虚に)この目標に向かって努力するつもりですので、どうぞよろしく願います。

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今年は、オリンピックイヤーということで、国内大会の開催スケジュールが異例です。主なものでは、8月に全日本新人戦、9月に全日本大学選手権、10月に国体、11月に全日本選手権です。各クルー、十分に準備をし、調整してレースに臨んでください。

国際大会の方は、まず8月6日~14日のオリンピックに、男女の軽量級ダブルスカルが参戦します。大元英照、中野紘志のLM2X、大石綾美、冨田千愛のLW2Xの両代表クルーは7月3日(日)のJOC主催の日本選手団結団式、7月9日(土)の日本ボート協会壮行会を経て、7月10日(日)に日本を出発、フランスでの事前合宿ののち、8月1日にリオデジャネイロに向かう予定です。両クルーとも、6月15日の記者会見で「決勝に残るのが目標」と決意を述べています。調子は上がっているようです。最後までいい練習をして、悔いのないレースを戦ってください。

次いで8月21日から28日まで、オランダ、ロッテルダムでシニアの非五輪種目、U-23、そしてU-19の世界選手権が同時に開催されます(オリンピックイヤーの特例措置)。

いずれの大会にも日本代表が参戦しますが、わたしはある意味でオリンピックと同等、あるいはそれ以上に注目しています。各世代をつなぐ継続強化の成果が試され、将来を占う大会だと思うからです。特にLM4-でオリンピックの世界最終予選を惜敗した4選手は、すごく力を伸ばしてきただけに、本大会でどこまで戦えるか、期待して観ています。わたしも観戦に行く予定です。

最後に9月7日~18日のリオデジャネイロ・パラリンピックに、混成二人乗りダブルスカル(TAM1X2×)の有吉利枝(右下肢障がい)駒崎茂(両下肢障がい)の2選手が参加します。たいそう困難な練習を続けて見事参加権を得た両選手(並びに彼らを支えたスタッフ)にエールを送ります。ぜひ頑張ってきてください。

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6月19日、お台場レガッタを観に行ってきました。

6年前、「誰もが気軽に漕げる、賑やかな都心部での、短距離レガッタを始めよう」と思い、東京都港湾局のご協力も得て、このお台場レガッタはスタートしました。

今回が第7回ですが、考えていた以上の面白い展開をしています。なんといっても、高校、大学、企業などで昔漕いだ仲間が、これを機にクルー結成というのがいちばん多いようです。中には、いつもは妻や母として暮らしている元日本代表女子選手が今回集まってエイトを漕ぐなど、豪華なクルーもありました。小学生クルーが4杯、中学生クルーが6杯というのも嬉しいことです。最高齢が85歳の畠山敬四郎さん(早稲田OB)最年少が8歳の宮崎和心ちゃんと宍戸結ちゃんですから、お爺ちゃんと曽孫の4世代が一緒のレガッタを楽しんでいるというわけです。

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ボート以外の他競技でも続々とオリンピック代表が決まっています。先日、今回のオリンピック日本選手団長を務められる、橋本聖子議員とお会いしましたが「サッカーのなでしこジャパンが行けないのは、本当に残念」と嘆きながら、「わたしの責任は目標メダルを達成すること。ボートも頼みますよ」とハッパをかけられました。

他競技のことですが、先日の陸上男子100mには感動しました。ケンブリッジ飛鳥選手の勝利はすばらしかったですね。

同日夜のNHKスポーツニュースを観ましたが、いろいろ考えさせられました。大学2年の時、このままでは世界と戦えないと思い父親の故郷ジャマイカに留学します。そこで知ったのが‘フィジカルの絶対的な差。これを克服しない限り戦えないと思い、強烈なトレーニングを重ね、現在の体脂肪率4%という身体を作り上げたそうです。同席していた室伏宏治さんの「生涯にわたる好敵手を持ちなさい」というアドバイスも味のあるものでした。

なお、女子5,000mで凄いラストスパートで優勝してオリンピック代表に決まった尾西美咲選手は、積水化学女子陸上部の所属です。シドニー五輪女子マラソン金メダルの高橋Qちゃんに続く当社2人目のオリンピック選手で、ぜひ先輩に続き頑張ってほしいものです。嬉しかったので、ちょっと書かせてもらいました。

以上