公益社団法人日本ボート協会

Japan Rowing Association

日本ボート協会JARA

全国のオアズパーソンへの手紙(第44信)

2016年4月1日
日本ボート協会会長
大久保 尚武
会長写真

平成28年度(28年4月~29年3月)の日本ボート協会事業計画と予算が、3月25日(金)開催の理事会で承認されました。詳細はホームページで見ていただくこととして、ここでは主なポイントを紹介しておきます。

あらためて驚くのは、やるべき仕事の多さと多彩さです。協会本部の委員諸君はもちろん、各地域の関係スタッフの皆さんには、たいへんな時間とご努力をいただいていることと思い、ほんとうに感謝します。ありがとうございます。

主な事業計画を5項目に絞って紹介します。

1.「国内での大会開催」関係

協会主催の全国大会は例年通り12大会ですが、今年はオリンピックの関係もあり、日程が大幅に変更になっているのと、開催場所が戸田コース(5回)の他全国6ヶ所に分散します。

また全国各地でのレガッタも益々盛んになるよう各主催団体との連携を深めていくつもりです。

2.「選手の発掘・育成・強化」関係

まず何をおいてもリオ・オリンピックへの3種目(LM4-、LM2×、LW2×)の出場権獲得を目指します。

中・長期に亘る選手強化の基軸は次の通りです。

  • ジュニアからシニアまでの一貫強化体制を定着させる
  • フランス人コーチを採用するなど、コーチ体制の強化を図る
  • タレント発掘、更には発掘したタレントの育成を図る
  • フィジカル・フィットネスの強化に一層注力する

3.「国際競漕大会への派遣」関係

シニアからジュニアまで、ともかく強豪選手のそろった国際大会(アジア地区大会を含む)でのレース経験をもっともっと積めるよう、派遣の機会を増やします。

選手自身が自覚して自ら強化に取り組むことが一番重要だと思っています。

4.「2020東京オリンピックに向けた各種イベント」関係

FISA臨時総会(2017年)、コーチカンファレンス(2018年)ジュニア世界選手権(2019年)の3大イベントに向けた準備はもちろん、FISA、JOC、組織委員会との連絡業務も膨大な量にのぼりそうです。英語での仕事が増えるようです。

5.「その他日常的な業務推進に係る仕事」

広報関係、審判員・指導者の育成、メディカルサポート、ドーピング関係、更には、基本となる資金確保関係など、これだけの組織になると、定常的に的確に運営していくための仕事は、ほとんど無数にあるのです。どうぞ、全国のオアズパーソン諸兄姉の懇切なるご支援を重ねてお願いいたします。

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どうにも頭の痛い、日本にとって重大な問題が起こっています。

3月6日にロンドンで開催されたFISAの会議(日本からの出席者は千田隆夫(審判委員)日浦幹夫(スポーツ医科学委員)細淵雅邦(イベント・プロモーション委員)※カッコ内はFISAでの役職)の三氏で、2017年2月に東京で開かれるFISA臨時総会で審議される「主なルール改正案」が提示されました。

そのなかに「オリンピック種目からLM4-を削除すること」が明確に示されたのです。

これまでも、特にIOC(国際オリンピック委員会)などで、「格闘技以外で体重制をもうけるのは、おかしい」という意見が根強くあり、FISAとしても対応に苦慮していたのは事実です。今回ついにこうした提案をするに至ったようです。

種目見直し(案)として、オプション1~3の3案が示されていますが、ポイントは次の4点です。

  1. 男女比は50:50とし、男子を56名減らし、男女とも275名とする。
  2. オプション1~3のいずれにおいても、LM4-は削除する。
  3. オプション2と3ではLM1×とLW1×を新たに加え軽量級種目を4種目にする。
  4. 軽量級の人数比率は次の通り
    現行 1案 2案 3案
    92名 (27.8%) 36(13%) 74 (27%) 74(27%)
    40  (18.3) 36(13) 74 (27) 74 (27)
    132 (24) 72(13) 148 (27) 148(27)

日本ボート協会としては、国際委員会が中心になって、鋭意、検討を続けているところです。

たまたま、FISAのマット・スミス事務局長とスベトラ施設部長が別件で来日していたので、3月24日(木)にお会いし、小一時間この件についてお話しました。

軽量級種目の導入については、日本が先導して働きかけ、1996年にようやく実現したものであるだけに、わたしから「今回の種目見直し案には、全く賛成しかねる」として、強く反対の意を表明しました。次のような趣旨の意見を述べておきました。

  1. 身体の大きなボート強国と、小さな弱小国があるのが現実だ。オリンピックでは公平に参加の機会を与えるべきだ。
  2. ユニバーサリティの観点から、軽量級を導入したことは他  競技と比し、ボート競技の先進性を示すものだ。
  3. できれば、軽量級にスカル種目とスウィープ種目の両方が欲しい。また小艇だけでなく、フォア種目もぜひ欲しい。

マット・スミスさんは、特にIOCの意向が強いこと、またオリンピックを簡素化する趣旨から、ボート全体の出場枠(選手550人)にも圧力がかかっているので、それは絶対に阻止しなければといった苦しい状況の説明がありました。

本件については、日本ボート協会として要望案をまとめ、アジアボート連盟各国とも連携を取りながらFISAに提案していく予定です。

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いよいよボートシーズンの幕開けです。

第27回全国高等学校選抜ボート大会が、3月19日(土)~21日(月)の3日間、浜松市天竜ボート場で開かれました。

昨年秋、全国9ブロックでの予選を勝ち抜いた91校、144クルーが、天候に恵まれた2,000mコースで覇を競いました。シーズン最初のレース、北国ではほとんど十分な練習もできない中での2,000mレースで、いささか心配しましたが、各クルー立派に漕ぎ切ったのは立派でした。

古い関係者の皆さんから、このレガッタ発足当時のことを興味深く聞きました。ボートの甲子園にしたいという当時の天竜市長さんの強い熱意で、大きな予算をかけ、2,000mコースの整備を進めたこと、シーズン始めなのにあえて2,000mレースにしたのは、ジュニアも世界に伍して戦うためには2,000mレースに慣れるべきだという関係者の信念があったことなど、選手諸君にもしっかり伝承しておきたいものです。

またプログラムがユニークで、面白く読みました。

出漕クルーの写真は、全て、ユニフォーム姿ではなく学校の制服で校門をバックに撮ってあります。広告にもユニークなものが多く、各大学ボート部の勧誘広告とか、父母会の激励広告がたくさんあって楽しく見ました。

レース結果は、今年は関東ブロックのクルーが好調で、6種目中4種目で優勝という好成績でした。

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以上